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最終更新日2005/05/27 |
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光合成 こうごうせい Photosynthesis植物が光のエネルギーを化学エネルギーに変換するプロセス。「ひかりごうせい」ともいう。具体的には、緑色植物、藻類、数種のバクテリアなどクロロフィル(葉緑素)をもつ生物が、光のエネルギーを利用して、二酸化炭素と水から、グルコース(ブドウ糖)などの炭水化物をつくりだすこと。実際には、地球の生物圏の生物にとって役にたつエネルギーはすべて、光合成によってもたらされたものなのである。 光合成では、次のような化学反応がおこる。ただし、ここでAは酸素や硫黄を一般化してあらわしている。 CO2 + 2H2A + 光エネルギー ? (CH2O) + 2A + H2O 化学式 H2Aは、酸化すなわちこれから電子をうばうことが可能な化合物を意味する。CO2は二酸化炭素、CH2Oは植物にとりこまれた炭水化物を一般化してあらわしたものである。光合成をおこなう生物の大部分を占める藻類と緑色植物では、H2Aは水(H2O)である。これに対し何種類かの光合成バクテリアでは、H2Aは硫化水素(H2S)である。水が関与する光合成は、もっとも重要でもっともよく解明されているので、以下ではそれについてのべる。光合成は 2つの段階からなる。ひとつは光に依存する一連の反応で、温度は関係ない。もうひとつは温度に依存する一連の反応で、光は関与しない。第1の段階は明反応とよばれ、反応速度は光の強度を一定の上限以下でますことによってはやくなるが、温度をあげてもかわらない。第2の段階は暗反応とよばれ、反応速度は温度を一定の上限以下であげることによってはやくなるが、光の強度をましてもかわらない。明反応 光合成の第1の段階は、色素による光の吸収である。この過程にはクロロフィルがかかせず、もっとも重要な色素である。クロロフィルは光のスペクトルの紫と赤の光エネルギーをとらえ、一連の反応によって化学エネルギーへ変換する。いろいろな形態のクロロフィル、カロチノイドやフィコビリンなどが、少しずつことなる波長の光を吸収し、エネルギーをクロロフィルaにわたして変換をおえる。こうして補助色素により、光合成によって固定できる光エネルギーの波長の範囲(スペクトル)がひろがる。 光合成は細胞内の葉緑体とよばれる細胞小器官でおこる。葉緑体にはクロロフィルと他の化学物質、とくにさまざまな反応に必要な酵素がふくまれている。葉緑体の中で、これらの化学物質はチラコイドとよばれる円盤形の袋にくみこまれ、葉緑体の単位になっている。このチラコイドにうめこまれている色素が光化学系を形成する。色素に吸収された光は、色素の電子をより高いエネルギーレベルにひきあげる。そしてこのエネルギーはクロロフィルaの特別な形態である反応中心へはこばれる。 光化学系にはIとIIの2種類がある。光エネルギーはまず光化学系IIでとらえられ、水の分子からの電子を励起して電子受容体へおしあげ、酸素が発生する。励起された電子は電子伝達系をとおって光化学系Iへもどり、この過程でエネルギーにとんだATP(アデノシン三リン酸)ができる。光化学系Iにより吸収された光は、反応中心へわたされ、ここでも励起された電子は電子受容体におしあげられる。この電子は別の伝達系によってつたえられ、補酵素のNADP(ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸)にエネルギーをあたえ、還元してNADPH2にする。光化学系Iでうしなわれた電子は、光化学系IIから電子伝達系で伝達される電子でおきかわる。明反応の結果として、ATPとNADPH2にエネルギーがたくわえられる。 暗反応 暗反応は葉緑体のストロマ(基質)でおこり、 ATPとNADPH2にたくわえられたエネルギーをつかって二酸化炭素を有機化合物に転化する。これはATPとNADPH2のエネルギーにより進行する、カルビン=ベンソン回路とよばれる一連の反応によっておこる(→ カルビン)。回路を1回まわるごとに二酸化炭素が1分子はいり、まずRuBP(リブロース-1,5-二リン酸)と結合し、PGA(3-ホスホグリセリン酸)とよばれる炭素3個の化合物2分子を形成する。1回で1分子の二酸化炭素、2分子のNADPH2、3分子のATPを消費し、この回路を3回まわると、3個の炭素をふくむ分子であるグリセロアルデヒド-3-リン酸を1分子生産し、これが2分子結合して炭素6個の糖グルコースができる。RuBPはこの回路でそのつど再生産される。このようにして光合成は、明反応によって ATPとNADPH2の化学結合に光エネルギーをとりこみ、暗反応によってグルコースにエネルギーを永続的にとりこむ。水は暗反応のあいだに分解されて、光エネルギーをATPとNADPH2へはこぶ電子を生みだす。二酸化炭素は暗反応で還元されて、糖分子の元になる。水が電子の供給者としてはたらく光合成を完全なかたちであらわすと、となる。 人工的な光合成 人工的な方法で光合成を再現できれば、太陽エネルギーを大規模に利用した、大きな可能性をもつシステムとなるだろう。現在、多くの研究がこの試みにむけられている。分子を他の分子と反応するまで人工的に分極させておくことは、まだじゅうぶん実現していないが、将来的には有望である。 |