2000年7月13日(木) 東奥日報 連載



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  −検証・むつ小川原−


第5部・“脱”誘致型開発 

■ 京都府八木町 − 畜ふん使い熱電供給(2000.7.13)

写真  悪臭や水質汚濁の元凶になりかねない家畜のふん尿をたい肥に変え、発電もする−。こんな“一石三鳥”の取り組みが京都府八木町で始まっている。八木町は京都市に隣接する人口九千五百人のベッドタウン。周囲を緑豊かな山々に囲まれた畜産地帯でもある。町内で飼育されている家畜は乳牛八百頭、肉牛四百頭、豚千三百頭で、畜産生産高は府下三位にランクされる。

メタンガス燃料に

 八木町がバイオマス(生物資源)エネルギーの導入に取り組んだのは、平成四年に南丹酪農農協から畜ふん処理施設建設の要望を受けたのがきっかけ。当初は一般的なたい肥化施設を検討したが、デンマークを視察した中川泰宏町長がメタン施設も併設するよう職員に指示した。

 「畜ふんでどうやって発電までできるのか検討もつかなかったが、調査に出向いたデンマークでは畜ふんをメタン発酵させてできたメタンガスを民家に供給したり、メタンガスを燃料に発電した電気を民家に供給していた」

 中川悦光農林課課長補佐(43)は、施設導入の経緯をこう話す。中川町長は「エコタウン・やぎ」を掲げ、平成六年着工の八木中学校校舎に太陽光発電設備を導入したり、平成七年に新エネルギービジョンを策定するなど新エネルギー導入に元々熱心だった。

 平成十年に完成した「八木町バイオエコロジーセンター」は総工費十億九千万円。約半分の六億六千万円は、農水省などの補助金で賄った。一日当たり乳牛のふん尿三十三トン、肉牛のふん尿十三トン、豚のふん尿八トン、豆腐工場から出るおから五トンを処理する。町から委託を受けた町農業公社の職員三人が施設の管理に当たる。

 農家が持ち込んだ畜ふんは消化槽に入れ、一カ月滞留させながらメタン菌で分解すると、メタンガスが発生する。メタンガスは出力七十キロワットのガスエンジン二台の燃料にする。電気は施設で消費、発電の廃熱で生じる温排水は消化槽の保温に使うほか、管理室の暖房や浴室の湯として利用。発電と熱供給を同時に行うコジェネレーションシステムだ。

 一方、消化汚泥となった畜ふんは脱水機にかけ、たい肥化施設で発酵させる。水分が少ない肉牛のふん尿も混ぜて再び発酵させると完熟たい肥が出来上がる。完熟たい肥の生産能力は一日十九トン。一トン当たり六千円の売上金は、処理費とともにセンターの運営資金に充てられる。
写真 厄介物をエネルギー資源に変える八木町バイオエコロジーセンター。トラックに積んだ畜ふんを農家が次々と運び入れる


「苦情なくなった」

 「施設ができる前は、ほとんどの農家が畜ふんを野積みしていたため、雨が降ると汚水が流れ出て苦情が出ていたが、それもなくなった」と中川課長補佐。農家が負担する畜ふんの処理費は年間一頭当たり乳牛が一万円、肉牛が五千円、豚が千百円。乳牛四十五頭から出る畜ふん二トンを毎日運び入れている酪農家、谷啓司さん(48)は「ふん尿処理はセンターに運搬するだけなので随分楽になった。乾燥したたい肥も軽くて臭いもなく使いやすい」と喜ぶ。

 バイオエコロジーセンターは現在、電力会社と売電に向けた協議を進めている。ガスエンジンの発電量は二百八十世帯分の電気を賄える一日二千五百キロワット時あるが、施設で消費しても八百キロワット時は余る。これを売電できれば、経営安定化につながる。「家畜排せつ物法」が昨年十一月に施行され、畜ふんの野積みは五年後に禁止される。厄介物をエネルギー資源に変える八木町の取り組みは、今後全国に広がりそうだ。

 低コストの低温メタン発酵システムの開発に取り組んでいる筑波大学農林工学系の前川孝昭教授は、バイオマスエネルギーの将来性についてこう予測する。

 「日本でバイオマスエネルギーの導入が進まなかったのは、自然と共生する哲学をなくしてしまったからではないか。研究開発費の配分も原子力エネルギーに比べ圧倒的に少なかった。しかし、原子力技術に限界が見えた今、二酸化炭素排出削減などで環境税が導入されれば、導入はさらに進むだろう」

3.メタンハイドレートとは

 

3.1 メタンハイドレートの構造(8),(9),(10),(11),(7),(12)

 水分子は温度,圧力がある条件になると,ガスの分子を取り込むことができる籠型のマクロ分子構造を形成する。メタンハイドレートは,メタンがこの様な水の籠型のマクロ分子構造内に取り込まれてできた氷状の固体物質である。

 より正確な表現を用いると水分子は,その内部に5〜6オングストロームの空隙を持った立体網状(包接格子)構造をしており,メタンハイドレートはその包接格子の中にメタンが捕捉(包接された)された化合物(包接化合物)である。なお,5〜6オングストロームというと非常に小さいと感じられるが,結晶にとってはこれは非常に大きな隙間で,結晶の内部にこの様な空隙が存在することは,結晶の安定性に不都合なことであり,この隙間を埋めるためガス分子が必要となる。この様な構造をした化合物を一般に包接化合物と呼んでいる。

 一般に包接化合物の中には,包接されている分子(この場合メタンガス分子)が包接格子の外へ出ていくとその格子が壊れてしまうものと,包接格子だけでも安定して存在できる2種類がある。前者の代表例がガスハイドレートで,ガス分子がメタンの場合をメタンハイドレートという。後者の代表例としてゼオライト(沸石鉱物)が挙げられる。

 

 次にやや専門的になるが,ガスハイドレートの構造について概説する。

 水分子とガス分子が共存し,低温・高圧になると,水分子がガス分子を包接して次の3種類の立体網状構造物(多面体構造)を形成する。

 

[1]12面体(五角12面体)

[2]14面体(五角12面体六角2面体)

[3]16面体(五角12面体六角4面体)

 さらに多面体構造の結晶構造を見た場合,内包されるガス分子の大きさ,種類によって変り,取込むガスの分子が5.2オングストロームより小さいか大きいかによってその構造は大きく2種類に分かれる。5.2オングストロームより小さい場合,ハイドレートの単位胞のサイズは12オングストロームの結晶構造(これを構造 I 型ハイドレートという)となり,5.2オングストロームより大きい場合,ハイドレート単位胞のサイズが17オングストロームの結晶構造(これを構造II型ハイグレートという)となる。一般にメタン,CO2,酸素,窒素は前者,プロパン,プロピレン等は後者に対応する。

 自然界で見出されたメタンハイドレートは、上記 I 型と II 型がほとんどであり、多面体の組み合わせで I 型と II 型を表現すると、 I 型の単位胞は、2個の多面体[1]と6個の多面体[2]から成る立方晶で、 II 型の単位胞は、16個の多面体[1]と8個の多面体[3]から成る立方晶ということができる。

 この他、H型と呼ばれる前述の多面体を組み合わせた6方晶の結晶構造が存在する。

 1994年にメキシコ湾の水深540mの海底から41%もイソペンタンを含むハイドレートが発見されH型構造と推定された。

 図3−1に I 型、 II 型、およびH型の結晶構造を示す。

 構造Ι型の単位胞は,前述のように,2個の多面体[1]と6個の多面体[2]から成るが,これは,8個のガス分子を46個の水分子がとり囲むことを意味しており,従って水和数(ガス分子1個に対する水分子の数)は,5.75と計算される。このためメタンハイドレートの分子式はCH4・5.75H2Oで表わされる。

 これから計算されるメタンハイドレート中のメタンガス含有量は,水1kgに対して,メタンガス9.66モルであり,これは水リットルの水に216リットルのメタンガスが取込まれることを意味する。すなわちメタンハイドレート化することによりメタンガスを理論的には水の容量の216倍封じ込めることを意味する。

 ただし,空隙がすべてガス分子で満たされることはまれで,充足率70〜80%が多いといわれる。その場合の取り込まれるガスの量は,水1リットルあたり150リットル(7モル)程度,従って150倍程度の容量が実用的な値と見られる。一方,水に溶存するメタンガスの量は水の体積の2〜5倍程度といわれており,このようにハイドレート化により溶存の場合より30〜70倍のメタンを取り込むことができる。

 なお,メタンを液化すると比重は,0.8kg/r(0.5kmol/r)であるのでクラスレートよりも約70倍もの量の貯蔵が可能であるが,液化するための必要温度,圧力条件(例.常圧で-162℃,40気圧で-80℃等)を考えるとメタンハイドレートはこれよりずっとゆるやかな条件(例えば,30気圧で0℃)で作ることができるところに液化に比べたメリットがあるといわれる。

 

3.2 メタンハイドレートの生成メカニズム

 メタンハイドレートが形成されるためには

 先ずメタンガスが水に溶けて飽和する状態以上の量的存在があり,さらに一定の温度・圧力条件を満たしていることが必要である。

 一般にガスハイドレートは低温ほど形成されやすく,かつ高圧ほど形成されやすい。

 ガスハイドレートの安定条件はまた,他のガスが混在することによって影響されるばかりでなく,水の塩分濃度や,堆積物中の孔隙の大きさに影響される。

 地下の堆積物中でメタンハイドレートが安定に存在する条件は図3−2に示すとおりである。図の左上の領域が安定領域であり,右下の領域が存在できない領域であって,斜線の部分は準安定な領域である。温度を下げるか圧力を高めていく場合には破線と交わるところでハイドレートの生成が始まる。例えば,同境界線は0℃の場合約30気圧となるが,このことはメタンと水を密閉容器に閉じこめ,0℃で30気圧程度まで加圧するとメタンハイドレートができることを示している。

 従って生成したメタンハイドレートは室温では溶け,中のメタンは気体となって逃げ去り,最後に水だけが残る。

3.3 資源としてのメタンおよびメタンハイドレートの生成原因(7)

 メタンハイドレートの生成に関しては,先づその基となるメタンの生成原因を探る必要がある。メタンの生成原因に関しては過去種々の説が提案されたが,現在のところ「生物起源説」と「熱分解起源説」による生成が有力である。

 「生物起源説」とは,地中において微生物によって比較的低温で生成するメタンガスを起源としている。

 メタンハイドレートが存在し得る海底(少なくとも300m以深)近くの微生物は,層状に3〜4層の群集体を形成しており,先ず上層部では好気性微生物,下層にいくに従って嫌気性微生物の量が増し,更に下層にいくに従って海水中に溶存している二酸化炭素を消費してメタンを発生する細菌が存在する。その間微生物は,生物連鎖反応的に互いに影響し合ってその量的バランスが保たれるものと考えられる。

 これが深海になればなる程圧力も増し,水に対する溶解度も上り,更に海底面下の地層中間隙水に溶解してメタンハイドレートの起源になるという説である。

 一方,熱分解起源説とは,通常の油田,天然ガスの有機成因説と同じで,その基源はケロジェンといわれる。ケロジェンとは,堆積物中に埋積した有機物が,先づ地下の浅いところで生化学的な作用で分解を受けて,脱アミノ,脱炭酸,脱メチル基などの作用によって生成する炭素と水素の高分子化合物である。

 ケロジェンは,酸やアルカリにも容易には溶けないが,埋没深度が増加するに従って熱生成を受けて熱分解し,石油や天然ガスの炭化水素が生成するといわれている。

 この反応には,深い地層とかなり長い反応時間を必要とするので,大陸やその縁辺部の堆積盆地では,海底下2000m以上の深層で大量に生成されると考えられ,そこで生成したガスが,堆積盆地の中で上方に移動することによってメタンハイドレートを形成したものと考えられている。

 以上を総括すると地下の浅いところでは生物起源のメタンガスか,深部では熱分解起源のガスが多くなる。ただし,実際には,両原因のいずれとも区別し難く,両者の混合タイプと解釈される場合が少なくないようである。

 天然ガスが,生物起源のガスか熱分解起源のガスかを判定する方法としては,一般に次の2種類が用いられている。

 一つは,炭素同位体組成を測定する方法と他の一つはガスの組成上からエタンとプロパンの合計量に対するメタン量の比(=C/(C+C))を測定する方法である。一般に炭素同位体組成※がおおむね-50〜-90パーミルと軽い場合は生物起源,-30〜-50パーミルと重い場合は,熱分解起源ガスといわれる。また,ガス組成上のメタン量の比で判定する場合は,一般にこの値が1000以上の場合は生物起源,50以下なら熱分解起源,その中間(50〜1000)はその両者の混合型式と見なされるが,これらの判断基準はいずれも絶対的なものではなく一つの目安ともいわれる。

 

(※ 同位体組成について

 自然界の水素原子には,通常の水素原子(H)のほかに,わずかながら重水素原子(D)が存在する。それらは化学的には同じ水素であるから,ふつうはその振るまいに差は見られない。けれども生物が係わる反応の場合にはHのほうがDよりも活発に反応することが知られている。同様のことは炭素原子についても見られる。例えば大気中の二酸化炭素(CO)を見てみると,それを構成する炭素原子の大部分は通常の炭素(C12)であるが,約1.1%の割合で重い同位体炭素(C13)が含まれている。植物は太陽の光を受けて,二酸化炭素と水から炭水化物(糖類)を作り出すが,光合成あるいは炭酸同化作用と呼ばれるこの反応では,同じ炭素の同位体ながらC13の方が少しばかり取り込まれにくい。そのため,植物にしても動物にしても生物中の炭素の同位体比は,非生物の世界の炭素の同位体比と較べてC13の割合がやや低いのである。

 この原理を利用すれば,天然ガスを構成する水素や炭素の同位対比を調べることによって,それが生物起源のものか熱分解起源のものかを判断することができる。しかし実際には,熱分解起源でも生物の体を通ると同位体分離され軽くなるなどの場合が少なくないので,そのような場合には同位対比は中間的な値をとることになると説明されている。

 なお,同位体組成の求め方は,ある標準試料中のC13とC12の比(炭素同位体比)を基準として,対象とする物質中の炭素同位体比が,この値より大きいか小さいかを表したもので,普通パーミル(千分率)で表示する(7)。)

バイオガスプラント(メタンガス醗酵プラント)

 

1.バイオガスとは

嫌気性微生物が有機物を分解するときに発生する可燃性気体のことで、主成分はメタンである。副産物として醗酵液肥がある。

(1)メタンガスの組成(%)

 

メタン

水素

炭酸ガス

一酸化炭素

硫化水素

窒素

酸素

50〜65

8〜10

20〜30

0.01〜0.8

0.02〜0.5

6〜7

0.1〜1.1

 都市ガスが水素を主成分(50〜55%)としているのに対して、メタンを主成分としているので「メタンガス」と呼んでいる。ちなみに天然ガスは92%がメタンである。

(2)メタンガスの特徴

発熱量は5500〜6500kcal/N・と都市ガスよりも高い。燃焼速度が遅く爆発の危険性が低い。
中毒性の一酸化炭素の量も都市ガスの1/10〜1/100である。
糞尿を多く使った場合、硫化水素その他の不純ガスのせいで腐敗臭がする。
硫化水素は燃焼すると亜硫酸ガスが発生し器具類を腐食させる。

(3)発生のメカニズム

 第1段階として原料中の炭水化物はアルコール類と炭酸ガスに、脂肪は脂肪酸とアルコール類に、タンパク質はアミノ酸と硫化物等に分解するが、ここではメタンの発生は少ない。
 この分解が80%程度進んだ頃から、第1段階で分解しきれなかった蛋白質や有機物が分解され、さらにはアルコール類が脱水されてエチレン系のガスになり、脂肪酸は脱炭酸してメタン系のガスになり、アミノ酸はアミノ基が脱離してアンモニアになり、母体は重合または分解を繰り返して石炭酸その他の芳香族化合物になる。この段階で発生する種々のガスを総称してメタンガスと呼ぶ。

(4)原料

糞尿、鶏糞、乳製品、澱粉かす、野菜屑、葉菜屑、果物の絞り滓、調理屑、残飯、食品屑等で新しいものより古いもの、大きいものより小さいものがよい。
原料に向かないものはネギ、タマネギ、ニンニク、魚・獣類の腐肉や内蔵、落花生、茶ガラ、大豆、わら、鋸屑、紙等である。
毎日1立方メートルのガスを得るために必要な糞量は牛1頭(30kg)=豚4頭(30kg)=鶏120羽(12kg)=人間15〜30人=家庭生ゴミ,おから20リットル(20人分相当、17kg)

(5)発生条件

温度は30〜35度が最適。15度以下ではガスの発生量が急激に落ちる。
PHは7.2〜7.6が良い。原料に尿が多いとアルカリ性になりやすいので、糞を入れるか野菜屑、残飯、糠などの酸を生ずるものを入れる。鶏糞は中性。
実績例:10立方メートルの醗酵槽で25度にした場合夏は4〜5立方メートル、冬は2立方メートルのガスが得られる。ちなみに1立方メートルのガスで5〜6人の家族の1日分の調理に使える。

(5)醗酵液肥

 投入された有機物は、無酸素状態で3〜4ヶ月かけて醗酵分解し、その過程でバイオガスを生産した後、醗酵液肥に姿を変える。この間に寄生虫卵や病原菌は死滅してしまう。この液肥は通常の堆肥と異なり、元々の投入有機物の栄養素をほとんど失わず、さらにビタミンB・C類や作物の成長と健康に役立つ微量要素を豊富に含んでいる。
   

(6)将来性

 今最も注目を集めているのが「燃料電池」。自動車メーカーが発表している最新のコンセプトカーにはこれが使われている。又以前から人工衛星の電源としては必要不可欠であるらしい。
 燃料電池は簡単に言うと電気分解の逆の現象で、水素と酸素とをG媒を使って結合させると、水が生成されると共に電気と熱を取り出す事が出来るというもの。
この原料となる酸素は空気中から、水素の供給源としては天然ガスが実用面では有力らしいが、メタンガス(NH
4)も触媒によって水素(H2)を取り出す事が出来る。メタンガスは今回設置するプラントで作ることが出来るほかに、将来的には海底数百メートル付近に無尽蔵にあると言われている「メタンハイドレート」(メタン分子が水分子に潜り込みシャーベット状になったもの)も使用可能となるであろうから、原料には事欠かない。このようにエネルギー革命にもなる可能性の高い燃料電池はメタンガスがあってこそ(?!)というものなのだ。

(参考図書〜メタンガスの発生利用法 小野二良著)

2.なぜメタンガスか

(1)太陽光発電が昼間の太陽が出ているときにしか利用できないのに対して、原料を投入しさえすれば、365日24時間ガスが発生する。
(2)太陽光発電は電気が利用の中心になるのに対して、ガスをそのまま使う他にガスエンジンや燃料電池で発電し、エンジンの排熱(冷却水)でお湯を作ることが出来る。
(3)今の時代、原料には事欠かない。残念ながらと言うべきか喜ぶべきか、畜産廃棄物(牛、豚、鶏糞)から食品産業廃棄物(飲食店の残飯、コンビニの弁当やパン等)までふんだんに無料!で手に入る。
(4)ゼネコンなどが開発するプラントは余りにも立派すぎて価格も高いが、バイオガスキャラバンが作っている手作りのプラントは規模にもよるが数十万円からせいぜい200万円くらいまでだろう。
(5)ガスが出た後は一部汚泥になるがほとんどは液化する。この液は液体肥料としては有害なガス成分が抜けているのでとても利用価値のある物になる。

 Y2K対策及び今後のエネルギーコストの上昇を視野に入れたとき、我が家ではこのプラントがベストの選択であろう。

3.プラント概念図
 

左投入口から原料を入れ、中央の醗酵槽からガスを取り出し、
右排出口に液肥が貯まる

 

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メタン発酵 メタンはっこう methane fermentation

湖沼の堆積物,汚泥や反芻 (はんすう) 動物の胃の内部など,酸素のない嫌気的条件で,微生物の作用によって有機物が分解されて, メタンが可燃性のガスとして発生する現象。 メタン生成に直接関与する微生物は,細菌の中でもとくに酸素に対する感受性が高い偏性嫌気性菌に属するメタン生成細菌であるが,この細菌は水素と炭酸ガスまたはギ酸から次式のようにメタンを生成する。

[化学式]

この反応は,炭酸ガスまたはギ酸を最終電子受容体として,水素を酸化する一種の嫌気呼吸と考えることができる。 メタン生成細菌の細胞成分や核酸の塩基配列は,一般の細菌とは著しく相異し,進化の過程で相互に大きくかけ離れたものと考えられる。最近では好塩性細菌の 1 種であるハロバクテリウムHalobacteriumなどとともに 古細菌 (アーキバクテリア archaebacteria) とも呼ばれ,生物進化に関する興味ある研究材料となっている。

 メタン発酵は,動植物遺体など複雑な有機物が嫌気条件下で,偏性嫌気性細菌の 1 種であるクロストリディウムClostridiumなどによって分解,発酵されて炭酸ガス,ギ酸,水素を生成する前段階と,それらの生成物からメタン生成細菌によってメタンが生成する過程との 2 段階から成っている。前者は酸発酵過程,後者はガス発酵過程といわれ,多種類の嫌気性菌によってこの両過程が同時に並行して進行する。

 メタン発酵は,有機廃棄物を分解除去して環境汚染を防ぐと同時に,発生するメタンを燃料として利用しうる方法として有用である。小規模な嫌気発酵槽を用いて農畜産廃棄物を処理する方法の普及が図られる一方,都市下水,工場廃水の活性汚泥処理にともなって発生する余剰汚泥を消化・減量し, メタンを回収する目的で,大規模なメタン発酵槽が建設・運転されている。

アルカン alkane

脂肪族鎖式飽和炭化水素 の一般名。一般式 CnH2n+ 2で表される一群の化合物で, パラフィン paraffin (e) パラフィン系炭化水素 メタン系 (メタン列) 炭化水素 などともよばれる。パラフィンの名はラテン語の parum affinis (親和力が低い) に由来する。骨格をつくる炭素原子間の結合はすべて単結合で,炭素原子の残りの原子価はすべて水素原子との結合に用いられ,環構造や多重結合を含まない。個々のアルカンの名称は,含まれている炭素原子数を示す数詞 (主としてギリシア語) に語尾 〈アン ane〉 をつける (参照)。炭素数n= 1 〜 3 のアルカンは各 1 種しかないが, n= 4 以上になると,炭素鎖が枝分れのない直鎖のものと枝分れのあるものが存在する。炭素原子の並び方が異なるこの種の異性体数は炭素数が大きくなるとともに急激に大きくなり,たとえばn= 4 のブタン C4H10では 2 個であるが, n= 10 のデカン C10H22では 75 種,n= 20 のエイコサン C20H42では 36 万 6319 種ある。以前は直鎖のアルカンには名称の前にn‐ (normal の略) をつけたが, IUPAC 命名法では,枝分れのあるアルカンは最大長の鎖の誘導体として命名されるので,枝分れの有無は側鎖アルキル基が名称に含まれているか否かで判定され, n‐を用いる必要はない。

 n= 1 〜 4 のものは無色の気体,n= 5 〜 16 のものは室温で無色の液体, nがさらに大きいものは白色固体となり, のような外観をもつ。種々の合成法が知られているが,実際に合成されるのは特殊な目的の場合に限られ,通常は天然ガスや石油の分留によって個々のアルカンを得る。パラフィンの語源からわかるように反応性が低く,室温では酸,塩基,ハロゲン,アルカリ金属とは反応しない。しかし適当な触媒の存在下で高温にすると,空気酸化,脱水素,異性化,熱分解などの反応が起こり,これらは石油工業,石油化学工業の基礎となっている。また直射日光,紫外線を照射するとハロゲンともラジカル的に反応してハロアルカンを生成する。 ⇒アルキンアルケン

竹内 敬人

合成ガス ごうせいガス synthesis gas

一酸化炭素と水素との混合ガスをいい,メタノール合成,オキソ合成,フィッシャー合成など,化学工業用原料として用いられる。また一酸化炭素を水蒸気と反応させて水素に変えれば,アンモニア合成,水素化脱硫その他の目的に使用できる。合成ガスは天然ガス,石油,石炭などを原料として,次のような原理と方法によって製造される。

 一般に,炭化水素から酸素 (アンモニア合成の場合は空気) および水蒸気を用いて高温で合成ガスが生産される化学反応は次のとおりである。

[数式]

また一酸化炭素の水素への変換反応 (シフト反応ともいう) は次のとおりである。

  CO + H2O嚠劒援CO2+ H2

 合成ガスの製造反応は触媒を用いるときには 700 〜 850 ℃で,触媒を用いないときには 1000 〜 1500 ℃で行われる。天然ガス,液化石油ガス (LPG),石油ナフサなどを原料とする場合はアルミナやマグネシアを担体とし,カリウムを添加したニッケル系触媒が用いられる。重油や原油を原料とする場合は触媒を用いることができない。これらの原料には硫黄化合物や重金属が含まれるため,触媒が急速に活性を失うためである。そこで高温で熱反応により合成ガスを得る。その技術として テキサコ法 シェル法 が知られている。石炭を原料とする場合も熱反応を用いる。実用技術としては,塊炭を固定床式反応器でガス化する ルルギ法 ,径 10 mm 以下に粉砕した石炭を流動床式反応器でガス化する ウィンクラー法 ,微粉炭を噴流層反応化でガス化する コッパース・トチェク法 などがある。

 

液化天然ガス えきかてんねんガス liquefied natural gas

略称 LNGメタンを主成分とする天然ガスを加圧,冷却して液化したもの。天然ガスの産地の多くは都市や工業地帯などの天然ガスの大消費地からは遠い。また石油とともに産出される油溶性ガスも消費地から遠いために,むだに燃されていた。ところで,メタンは− 161 ℃に冷却すれば液体となり,その体積は常温・常圧の気体に比べて約 1/600 に減少する。これを専用の冷凍タンカー (LNG タンカー) で海上輸送すれば,遠い消費地までも経済的に配給することができる。 LNG の本格的なタンカー輸送は,1964 年,アルジェリアの天然ガスのイギリスへの輸出によって始まった。日本でも 70 年前後から LNG の輸入が盛んになり,アラスカ (1969 年に開始,以下同様),ブルネイ (1972),アブ・ダビー,インドネシア (ともに 1977) などから 80 年には合計約 1700 万 t /年の LNG が輸入されている。これは世界全体の LNG の国際貿易量の約 60 %に相当する。日本はエネルギーの供給源の多様化を目指しており,その政策の一環として,将来も LNG の輸入量が大きく増える見込みである (95 年の輸入量は約 4300 万 t /年で,輸入先は上記のほかにマレーシア,オーストラリアが加わり,アジア・オセアニア地域で全輸入量の 88 %を占めている)。

 産地で液化された天然ガスは LNG タンカー で運ばれるが, LNG の比重は原油の比重の約 1/2 であるため,同一重量の LNG を運ぶためには原油タンカーの 2 倍の大きさのタンカーが必要である。そのうえ LNG タンカーは保冷のために特殊の材料 (ニッケル鋼やアルミニウム合金) や構造が要求されるので,積載トンあたりの建造費は原油タンカーの数倍も高い。 LNG の受入れ基地では LNG 専用のタンクに LNG を貯蔵し,これを再びガス化して発電用や都市ガス用の燃料として使用する。ガス化には海水や工場の温排水が利用されるが, LNG のもつ冷熱を積極的に利用する事業として,空気の液化分離,食品などの冷凍・冷蔵,海水の淡水化などが実施,あるいは計画されている。 ⇒冷熱利用

冨永 博夫

活性汚泥 かっせいおでい activated sludge

下水や廃水中に生ずる細菌などの微生物からなる汚泥。通常の汚泥との差異は,有機物質や無機物質を摂取して分解する能力をもつことで,このため 〈活性〉 の名がある。好気性細菌群と通性嫌気性細菌群を主体とし,このほか菌類,原生・袋形・環形・節足動物などと藍藻類が共存している。好気性細菌群と菌類は,溶存酸素の存在下で水中の有機物質を摂取して酸化し,水,炭酸ガス,アンモニアなどに無機化し,通性嫌気性細菌群は,有機物質を酸化あるいは還元して有機酸,炭酸ガスなどを生成し,また一部の通性嫌気性細菌 (脱窒素菌) は硝酸呼吸を行って,下・廃水中の硝酸,亜硝酸から酸素を取り窒素ガスを生成すると同時に有機物を酸化分解している。原生動物や後生動物は,粒子状有機物質やこれらの細菌をにすることで共存しており,また藍藻類は光の存在下では光合成を行い,光のない場合は好気性細菌と同様に有機物質を分解する。

 有機物質を酸化あるいは還元することで生存の基本エネルギーを獲得している細菌を他 (有機) 栄養細菌と呼ぶが,活性汚泥の中には,無機物を酸化することによってエネルギーを得ている自 (無機) 栄養細菌と呼ばれるものも存在する。例えばアンモニアを亜硝酸に,亜硝酸を硝酸に酸化する亜硝酸菌および硝酸菌である。これらは下・廃水中の窒素を生物学的に除去するうえで,脱窒素菌とともに活性汚泥中の重要な細菌である。なお,好気性細菌,通性嫌気性細菌群は,いずれも数十から数百種の細菌種で構成されているとみられるが,現在のところ限られた種以外,その内訳は完全には確認されていない。このような有機物質,無機物質を分解する活性汚泥の働きは,下水や廃水の処理に利用され,活性汚泥を利用した処理方法を 活性汚泥法 という。活性汚泥の特徴に,細菌群が凝集して羽毛状あるいは海綿状の固まり (フロック) を形成し重力沈降しやすいことがあり,このために処理した下・廃水と活性汚泥の分離が容易で,再び活性汚泥を新しい下・廃水処理に使用できるという利点がある。ただし活性汚泥中に糸状細菌,糸状菌や高分子物質を細胞外に蓄積する細菌が増加すると,活性汚泥が凝集沈降しにくくなるバルキング (膨化) と呼ばれる状態が起こることがあり,このバルキングの発生を防ぐことが活性汚泥法の制御管理上重要な問題となっている。 ⇒下水処理

松井 三郎

下水処理 げすいしょり sewage treatment

下水中の汚濁成分を分離除去して,下水を清澄で安全なものに変えること。下水中には,人間の排泄物,家庭生活からの排出物,そのほか雨水などを通じて地域自然環境から由来する汚濁物が含まれており,汚濁成分はきわめて多数の物質で構成されている。下水処理はこれら多数の汚濁物質に対してできるだけ経済的で,かつ処理水が自然環境に悪影響を及ぼさないように安定化することを目的とする。下水処理は下水道の終末に設置された下水処理場で行われ,処理を終えた水は公共水域に排出されるか再利用される。

[処理方法]

 下水処理はその処理程度によって 1 次処理, 2 次処理,3 次処理に分類される。

(1) 1 次処理   簡易処理 とも呼ばれ,主として,浮いている固形物や微細な浮遊物,油脂の分離・除去を目的として行われる。流入下水中の土砂などの比重の重い粒子をまず沈砂池で沈殿分離し,次に浮遊性の大きなごみをスクリーン (大きなふるいの一種) で除去する。こののち,1 次沈殿池に下水を導くが,途中の導水路での下水の嫌気的腐敗を防止するため,空気を吹き込む予備エアレーション,あるいは下水中の油脂状成分を浮上・分離する油脂分離の操作が施される (この段階までを 予備処理 ということがある)。 1 次沈殿池では,下水中の浮遊物質が沈殿分離されて処理水はかなり澄明となり,排水する前に塩素,あるいは次亜塩素酸ソーダで消毒を行い 1 次処理を完了する。この方法では BOD5が 25 〜 35 %の除去率,浮遊物質が 30 〜 40 %の除去率で,日本の下水道法施行令が 1 次処理に求めている基準は, pH 5.8 〜 8.6,BOD5120 mg / l 以下,浮遊物質 150 mg / l 以下,大腸菌群数 3000 個/ cm3 以下である。

(2) 2 次処理   1 次処理では処理後の水質が排出基準 (水域によって異なる) を達成できない場合, 2 次処理 ( 高級処理 ともいう) が行われる。通常,1 次処理に引き続いて行われるが, 1 次処理を省略する場合もある。具体的な方法としては,活性汚泥法か散水ろ床法が中心となるが,これらの方法は微生物が酸素の存在下で下水中の有機物質を分解安定化することを利用したものである。 活性汚泥法 の場合,エアレーションタンク (曝気 (ばつき) 槽) に流入した下水は,微生物を主体として構成された活性汚泥と混合され,同時に空気中の酸素を水表面から機械かくはん (エアレーター) で溶解させるか,底部より圧縮空気を気泡として注入 (散気式エアレーション) する。エアレーションタンク内での混合と微生物分解反応時間は約 6 〜 8 時間程度で,その後最終沈殿池 (2 次沈殿池) に導く。ここで活性汚泥を沈殿濃縮して再びエアレーションタンクに返送し,沈殿池から流出する上澄水を消毒の後に排水する。活性汚泥はこのようにエアレーションタンクと最終沈殿池の間を循環しながら連続して下水処理を行っている。なお,2 次処理の場合,1 次沈殿池を最初沈殿池と呼ぶ。

  散水ろ床法 では,れきやプラスチック製充てん物を積み上げたろ床の上部より下水を散水する。れきや充てん物の表面には微生物膜が生成発達しており,その上を下水が水膜を形成しながら落下し,この間に空気中の酸素と下水中の有機物が微生物膜内に浸透して,活性汚泥法と同様に分解を受ける。標準活性汚泥法では BOD5が 85 〜 95 %,浮遊物質が 80 〜 90 %除去され,標準散水ろ床法では BOD5は 75 〜 85 %,浮遊物質は 70 〜 80 %除去される。下水道法施行令が求める排水基準では 2 次処理により pH 5.8 〜 8.6, BOD520 mg / l 以下,浮遊物質 70 mg / l 以下,大腸菌群数 3000 個/ cm3 以下となっている。なお, 高速散水ろ床法 (標準散水ろ床法より負荷水量が多く短い時間で処理する) や モディファイドエアレーション法 (標準活性汚泥法よりエアレーション時間が 1.5 〜 2.5 時間とかなり短い) は,処理水質の BOD5や浮遊物質濃度がやや悪くて 中級処理 と呼ばれることもある。

  2 次処理の中心となっている微生物を利用した処理法には,多くの改良法が存在する。例えば,活性汚泥法の変法として 長時間エアレーション法 ( 全酸化法 ) があるが,これは余剰汚泥量を減少させることを目的としたもので,エアレーション時間が 16 〜 24 時間になる。 ディープエアレーション法 は,エアレーションタンクの深さを通常の 5 m 程度から 10 m 程度と深くし,タンクの所要敷地面積を小さくしている。さらに 超深層エアレーション法 では,水深を 50 〜 100 m 程度にまで延長し,鉄製チューブの中を下水と活性汚泥の混合液が地上より降下し再び地上へ上昇する間に,高圧を利用した高濃度酸素溶解が達成でき,エアレーションが 30 分間程度に短縮される。このほか,活性汚泥法の変形としては,空気から酸素だけを選択分離してエアレーションタンクに注入する 純酸素エアレーション法 ,水深が 1 〜 2 m 程度の長円形の溝をエアレーション部分とした オキシデーションディッチ法 ( 酸化溝法 ) などがある。散水ろ床法は表面に固着した微生物による処理法の一種であるが,このような固着微生物を利用した別の方法として 回転円板法 と呼ばれるものがある。これは円板を何枚も一定の間隔で共通軸に通して全体を回転させるもので,半分以上の円面積は大気中にあり,残りは水中に没しているようにする。円板表面に微生物が付着成長しており,円板が下水中に没している間に有機物など汚濁成分を吸着して,大気中に出てくると酸素を摂取しながら有機物を分解する。この方法の利点は,円板を回転する動力費だけが必要で,酸素を水中に供給,溶解する動力費が不要となることで 2 次処理と同程度の処理水質が得られる。

(3) 3 次処理   高度処理 とも呼ばれる。 2 次処理よりもさらに高度な水質を得るために行われる処理法。生物学的に窒素硝化,脱窒素反応を行わせる方法や嫌気性・好気性条件を組み合わせて生物学的なリン除去能力を向上させる方法がある。これらは従来の活性汚泥法を高度に研究開発した結果,新しく生み出されてきた処理技術である。一方,物理化学的な処理方法も行われており,これには活性汚泥法による処理過程で鉄やアルミニウムの凝集剤を注入して最終沈殿池でリンを沈殿除去する方法,また 2 次処理水中のリンを付着結晶化させて除去する晶析脱リン法などがある。

[下水道未整備地域での処理問題]

 下水道が普及していない地域では,家庭雑排水は家屋近くの排水路にたれ流しになっており,屎尿 (しによう) はバキューム車による回収が行われている。日本人が 1 人 1 日排出する平均汚濁量は,雑排水の場合 BOD5量約 40 g ,COD 量約 20 g ,浮遊物質量約 36 g ,全窒素量約 3 g ,全リン量約 1 g であり,一方,屎尿のほうは BOD5量約 13 g ,COD 量約 6.5 g ,浮遊物質量約 10 g ,全窒素量約 10 g ,全リン量約 0.6 g である。これらの数値からも,下水道未整備地域における家庭雑排水が大きな汚濁源になっていることが分かる。屎尿のほうも,最近では家庭浄化槽の普及に伴い,浄化後の排水が流れ込む結果となって汚濁排水量の増加が問題となっている。一般に戸別の屎尿浄化槽は,約 50 %程度の BOD5除去率しか達成できていないため,浄化槽普及はかえって水質汚濁悪化の原因になっている。雑排水の水質汚染を少しでも軽減させる方法として,排水路中に固着生物を発達させるようなろ材を設置し,流下過程で河川の自浄作用を模した雑排水処理も試みられている。

松井 三郎

メタン methane

炭化水素の最も簡単なもの。化学式 CH4で表され,に示すような四面体構造をもつ。沼池などにおいて有機物の腐敗により生じる 沼気 marsh gas として古くから知られている。天然ガスの主成分として産するほか,石炭や石油の熱分解などの際に発生するガス中に含まれる。 メタンガス というときは,一般にメタンを主成分とする天然ガスをさすことが多い。無色,無味,無臭の可燃性の気体で,融点− 182.76 ℃,沸点− 161.49 ℃。水にはほとんど溶けず,エチルアルコール,エーテルにわずか溶ける。用途としては,メチルアルコール合成に重要な合成ガス (一酸化炭素と水素の混合ガス),水素,カーボンブラック,塩素化メタンなどの製造原料や燃料がある。

中井 武