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肥料概論

肥料概論

大蔵永常 農家肥培論から(1820年頃)

農業を行う上で最も重要なことは、施しを選ぶことである。

施しは転地の化育を助けるものの一つであり、百穀を世の隅々まで満たして、万民の暮らしを豊かにするために一番大切なことである、われわれ人間から、鳥獣虫魚は言うに及ばず、生きとし生けるものすべて食べずに命を保つことができないことは、誰もがみな知っていることである。

心情のない草木にしても、栄えたり枯れたりするものなのだから、肥やしをやらなければ繁茂しがたいことは、心情のある動物と同じ道理である。

草木は土気と水気を食料とする。

だから土から離れて水の補給がなくなれば、動物が食べ物を絶たれたのと同じで、枯れない草木はない。

人間は五穀を食べて生きているものだが、常日頃からキビやヒエばかり食べている者が美食をすれば肥え太ってしまう、草木とて同じことで、十分に肥やしを施せば、肥え栄えてその実までもおいしい味となる。しかし、いつも美食ばかりしているものは、病気になったり皮膚が荒れたり、ともすれば積聚(しゃくじゅ胃痙攣)となってしまう。

同じように、草木への肥やしをやりすぎると、ただ枝葉だけが茂って実は少ないものである。また葉が枯れたり虫に食われたりして、おのずと朽ち果ててしまう。

人たるものはこの道理を悟り、わが身の強弱を考えて平生から食事に注意し、無病息災に心がけるべきである。もしも病気にかかったら、薬を足したり体から薬を排出させたり、寒さ暑さの加減をしてやったりして、死にそうな人でも生き返らせるのが名医というものである。

農家にあっては、草木や五穀の性質をよく知り、気候や田畑のよしあしを考え、肥やしになる品々の適不適を明らかにすることが、大切である。

そして、平常時には人が摂生するように用い異常時には医薬のように用いるべきである。このように適切に用いるならば、どんな年にも凶作はなく、いくら悪い田でも不作ということはない。

このような農家ならまさに年季を積んだ老農、百穀の医師と呼ぶにふさわしい。

農家が朝な夕なに百穀の撒きどきを考え、育ち具合を観察するのは、医者が人の脈を診るようなものであり、農家が肥やしを加減しながら施すのは、医者が薬を加減しながら与えるようなものである。

医者は人の生命にかかわって生き死にを司る大切な職業であり、農家は万民の生命の元である五穀の生命に関わって豊凶を司る大切な役割を担っている。

だから肥やしの用い方にはよくよく心を配るべきである。

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