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肥料概論

 

  有機肥料と化成肥料

 

有機肥料を選択する上で、いつも悩みになるのが肥料価格になると思います。

単価的には、硫安などの安い高度化成に比べて、油粕では1.7倍、魚粕では4.2倍高くなる為、作物の売値や経費配分だけを考えていたのでは、非常に割が合いません。

しかし、過去の過ちの経験から化成肥料だけの栽培では、食味が落ちたり品質などに大きな影響を及ぼすので、多少の収入を減らしてでも有機的な栽培を実現する為、日夜努力なさっていることと思います。

ここで、重要な事は何故有機肥料で栽培するとおいしくなるのか?、それと同時に土壌を健全にするのかという事で、これは逆になぜ化成肥料だと食味が多少落ちるのか、土を悪くするのか?ということを、土壌のメカニズムを知ることによって理解する事です。

農作物の品質の決定には多くの因子が影響し複雑に絡み合っています、有機栽培家や一部消費者の言う無農薬栽培の野菜のおいしさは、数十年に亘る同一作物の連作を行われていない比較的新しい産地の結果であり、新しい畑で有機肥料で栽培すると、農薬も必要無い状況を実現できますし、養分吸収機構の要となる土壌の構造が健全な為に、日持の良いおいしい作物が栽培できます。

経営農業の最大の目的は収入であるし、同一作物を栽培しての農機具の選択や、人件費の削減、特に産地での大量生産による市場有利性と運搬費と梱包費の削減、天変地異での不作(自分は今年キャベツ一丁歩が雹で全滅した)、後継者問題など、収入を維持する為には単においしいものを栽培するだけでは、割り切れないものがあまりにも多いのが現状です。

自然に左右されたり、過去のほんの少しの土壌に対する認識の違いが、大きな食味や収量に影響を及ぼし、その後の経営に大きな影響を与えるのですから、愚痴を言いたくも成りますよね。

行列の出来るラーメン屋みたいに、自然の影響を受けずにうまいものが作れるのなら良いのですが。

でも、ラーメン屋も入らぬ欲をもって初心を忘れたり、お客を低く見る行動をとると、瞬く間に客足が遠のくようで、器以上の欲を持つといけないようですな。

石灰の多投は、父は富ますが息子を貧しくさせる

上の文は、17世紀のヨーロッパの諺でありますが、何故石灰を多投し始めることにより、父の世代は富を得ることが出来、息子は貧しくなるのでしょうか、この現象は、まさしく現在の日本の農業の現実に迫る問題と類似しています。

硫安により、収入を増やし(土壌のちから以上)、土壌構造を破壊し、作物の生育に問題が出たところで、石灰を投入しより一層の収入を増やしてきました。

その後に残ったのは、土壌消毒をしなくては、品質を維持できない畑であり、食味よりも収量だといって、3要素や微量要素すらも無理に多投しなくては成らない、根の発生の少ない非常に難しい農業を残されてしまったのです。

農家は馬鹿でも出来るといったのは、先人たちの血のにじむような努力で残された土壌を壊すことなく異常な収量を求めることなく、農業を行えば人間の知恵などはあまりに無力なので、馬鹿でももしくは自然に従順だということで馬鹿だとの言葉の表現を取ったのでしょう。

ラーメン屋と同じで、自然の利にかなわない欲を持と必ずしっぺ返しをもらうようで、有機栽培の大規模経営を目指した自分が大きな失敗を繰り返し、土壌の基本を理解した上で、気分だけを入れ替え農薬も使用したおいしいキャベツを栽培し500万円にはなるなどと嘯いてたところ、5月3日の10分間の雹でそのすべてが粉々に成ってしまったのも。すべて自分の欲の不当性からだと反省しています。

父の世代の欲により壊れた土壌とはどういうことなのか、何故新しい畑ではおいしく農薬のあまり入らない栽培が出来るのか、何故、化成肥料は悪いのか、何故石灰が息子を貧しくさせたのか、検証していきたいと思います。多分に土壌環境研究とかさなりますが。

 

  単価 窒素 1kg当り 対比    
硫酸アンモニウム  21%  20kg  550円 138円 100    
油粕 5%  20kg  600円 600円 434    
魚粕 6%  20kg 1,800円 1,500円 1086    

 

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