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        最終更新日2005/05/27

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アミノ酸 アミノさん Amino Acids 

化学調味料のグルタミン酸,栄養剤飲料中のアルギニンやアスパラギンなど,学校給食に添加するしないで話題になったリシン,これらはみなアミノ酸である。このようにアミノ酸が食品成分として重要視されるのは,まず何よりも生物が生きていくうえで不可欠なタンパク質がアミノ酸からできているからである。食物中のタンパク質は,消化酵素によってアミノ酸にまで分解された後,体内に吸収される。吸収されたアミノ酸は,さらに分解されてエネルギー源となるか,あるいは遺伝情報に従ってつなぎ合わされ,種々のタンパク質となる。新しくできたタンパク質は生物体の構成成分や酵素として重要な機能を担うことになる。

1分子中にアミノ基鋒H2とカルボキシル基砲OOHとをふくむ有機化合物のことで、生物が生きていくうえで不可欠なタンパク質はアミノ酸からできている。ふつうタンパク質を構成するアミノ酸はすべてaアミノ酸で、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンの20種類である。これら20種のアミノ酸の化学構造は一般式

であらわすことができる。

構造式からわかるように、アミノ基とカルボキシル基は同じ炭素原子に結合しており、この炭素原子をa炭素原子とよぶ。20種類のアミノ酸の違いは、a炭素原子に結合しているもうひとつの基、基の違いによって生じる。たとえばグリシンはもっとも単純で、基が1個の水素原子で構成されている。また基に炭素と水素原子がふくまれていたり、さらに酸素、窒素、硫黄原子などをふくむ複雑な基からできているものもある。

細胞が合成するタンパク質は、アミノ酸どうしが次のようにしてつながってできたものである。1つのアミノ酸のカルボキシル基と別のアミノ酸のアミノ基との間で重縮合してペプチド結合ができ、2つのアミノ酸がつながる。さらに第2のアミノ酸のカルボキシル基と第3のアミノ酸のアミノ基との間に同様の結合ができ、第3のアミノ酸が結合する。このような結合がつづいてでき、長い鎖状分子となる。10個以上のアミノ酸がペプチド結合してできた鎖状分子をポリペプチドとよぶ。このようなポリペプチド1本でできているタンパク質もあれば、おりたたまれた数本のポリペプチドどうしが弱い分子間力でむすばれているタンパク質もある。タンパク質は遺伝物質である核酸の指令にもとづいて合成される。この指令によってタンパク質のアミノ酸配列の順序が決定されている。タンパク質の形や性質の違いは、単にアミノ酸の基の配列順序によって生じる。20種類のアミノ酸を材料にしてできうるタンパク質の種類は膨大な数にのぼる。

必須アミノ酸

20種類のアミノ酸はホルモンや色素など、細胞がつくるほかの多くの物質の材料でもある。これらアミノ酸のうちのいくつかは重要な代謝中間産物である。

植物や微生物の多くは、成長に必要なすべてのアミノ酸を、無機化合物をつかって合成する。しかし、動物は必須アミノ酸を合成できないので、食物からとりいれなければならない。ヒトの必須アミノ酸はリシン、トリプトファン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トレオニン、メチオニンである。動物からえられる高タンパク食品やいろいろな植物タンパクを配合した食品中には、じゅうぶんな量の必須アミノ酸がふくまれている。

タンパク質を構成している20種類のアミノ酸以外に、150種類以上のアミノ酸が天然にみつかっている。これらのアミノ酸には、アミノ基とカルボキシル基がことなる炭素原子に結合しているものもあり、キノコなどの菌類や高等植物にみつかることが多い。

アミノ酸 アミノさん amino acid

化学調味料のグルタミン酸,栄養剤飲料中のアルギニンやアスパラギンなど,学校給食に添加するしないで話題になったリシン,これらはみなアミノ酸である。このようにアミノ酸が食品成分として重要視されるのは,まず何よりも生物が生きていくうえで不可欠なタンパク質がアミノ酸からできているからである。食物中のタンパク質は,消化酵素によってアミノ酸にまで分解された後,体内に吸収される。吸収されたアミノ酸は,さらに分解されてエネルギー源となるか,あるいは遺伝情報に従ってつなぎ合わされ,種々のタンパク質となる。新しくできたタンパク質は生物体の構成成分や酵素として重要な機能を担うことになる。

アミノ酸の構造と性質]

 化学的には,1 分子中にカルボキシル基− COOH とアミノ基− NH2の両方をもつ有機化合物を総称してアミノ酸という。またこの定義を少し広げて,アミノ基の代りに修飾されたアミノ基やイミノ基− NH −をもつもの,カルボキシル基の代りにスルホ基− SO3H をもつものもアミノ酸に含めることが多い。種々のアミノ酸のうちで,カルボキシル基の結合している炭素原子 (α‐炭素という) にアミノ基の結合しているものをαアミノ酸,その隣の炭素原子にアミノ基の結合しているものをβアミノ酸,以下,離れるにつれγ‐,δ‐,εアミノ酸などという ( 図 1 )。 アミノ酸はカルボキシル基が酸,アミノ基が塩基の性質を示すので,両性電解質といわれる。水溶液中で中性の pH では,カルボキシル基とアミノ基は水素イオンをそれぞれ解離・結合して,− COO,− NH3という電荷をもつ形をとる。これらの電荷が存在するため,アミノ酸の結晶は融点が高く (多くは 200 ℃以上で,溶ける前に分解),水に溶かすと誘電率を増加させる。

  19 世紀初めから現在に至るまでに,生物から数百種類のアミノ酸が発見されており,動植物やその成分にちなむ名前をつけられたものも多い。たとえば,アスパラギンの名はアスパラガスに由来するし,グルタミン酸は小麦のタンパク質であるグルテンにちなむ。このうちでタンパク質を構成するアミノ酸は,基本的には 20 種類であり,しばしば 3 文字または 1 文字の略号で表記される ( 表 1-I II III IV )。またこの 20 種のアミノ酸はみなαアミノ酸で, α‐炭素原子には,カルボキシル基,アミノ基,水素原子,および各アミノ酸に固有の基 (側鎖と呼ばれる) の四つが結合している。この場合,側鎖が水素原子であるグリシンを除き, α‐炭素原子が不斉炭素原子であるため 図 2 のような二つの立体 (光学) 異性体,D‐型と L‐型が存在するが,タンパク質を構成するアミノ酸はみな L‐型である (立体特異性があるという)。これは,化学合成でできるアミノ酸が D‐型と L‐型の混合物 (ラセミ体) であるのと異なり,生体内で起こる反応のいちじるしい特徴の一つである。 D‐型アミノ酸は生体内では珍しいが,細菌の細胞壁やある種の抗生物質などには含まれる。なお,タンパク質中に上記 20 種以外のアミノ酸が含まれることがあるが,これは 20 種のアミノ酸のどれかがタンパク質合成後に修飾を受けて変化したものである ( 表 2 表 3 )。

 タンパク質はアミノ酸が数十個から数千個,結合してできる。

 H3N・CHR1・COOH3N・CHR2・COO

  ……+H3N・CHRn・COO

  嚏劒窮H3N・CHR1・CONH・CHR2・CONH・

  ……・CONH・CHRn・COO+ (n− 1) H2O

ここでタンパク質中のアミノ酸の単位− NH・CHRi・CO −を アミノ酸残基 ,つなぎ目の部分− CONH −を ペプチド結合 という。またタンパク質内でのアミノ酸残基の順序を アミノ酸配列 ,順序を問わない各アミノ酸の量を アミノ酸組成 という。 アミノ酸組成を調べるには,タンパク質を 6 規定塩酸中, 110 ℃で一昼夜,加水分解し,アミノ酸に変えてから自動アミノ酸分析機にかけて各アミノ酸を定量する。定量法としては,ニンヒドリンを加えて加熱し,できた青色 (プロリンの場合は黄色) の化合物を比色定量することが多い。 アミノ酸配列はタンパク質を酵素や化学反応で断片化したり,末端のアミノ酸を遊離させたりした後, アミノ酸組成を調べるという操作をくり返して決定する。 アミノ酸配列はアミノ末端側からカルボキシル末端側への向きで (前記の化学式の左から右へ),たとえば Met・Leu・Arg・……・His・Ser などと表記する。生体内でのタンパク質合成の際には, アミノ酸配列はメッセンジャー RNA (mRNA) 上での塩基の三つ組 (トリプレットまたはコドンという) の配列により決定される。トリプレットとアミノ酸との対応を示す表は 遺伝暗号表 (遺伝暗号) またはアミノ酸コード表と呼ばれる。トリプレットの 2 番目の塩基が,対応するアミノ酸の物理・化学的性質と相関関係がある (2 番目に U をもつものは非極性アミノ酸。 A,G をもつものは側鎖に電荷をもつアミノ酸)。

 アミノ酸の種々の側鎖の物理・化学的性質は,タンパク質の構造形成と機能にうまく使われている。たとえば Leu,Phe などの非極性側鎖は水と親和性が低く, Arg,Gln などの極性側鎖は水と親和性が高い。タンパク質分子は固有の立体構造をとる際に,なるべく非極性側鎖が分子内部に,極性側鎖が分子表面に位置して折りたたまれるように設計されている。また Cys,His,Ser,Asp,Gln,Lys の側鎖は他の有機化合物と求核反応する性質をもっているが,多くの酵素ではこれらのアミノ酸残基が活性中心にあって,化学反応をつかさどっている。またある pH で電解性側鎖に水素イオンの結合・解離が起こるとタンパク質の性質が変わり,これが生理活性の pH による調節機構の基盤となっていることが多い。

アミノ酸の分解と合成]

 アミノ酸 R・CHNH3・COOは生体内で分解される際,はじめにいくつかの反応で酸化され,対応するケト酸 R・CO・COOH とアンモニア NH3になる。アンモニアは植物や微生物では生合成に再利用されることが多いが,動物ではかなりの部分が排出される。一般に水生動物ではアンモニアのまま,陸生脊椎動物では尿素や尿酸に変えられてから排出される。一方,ケト酸の方はピルビン酸,アセチル CoA,クエン酸回路中間体のいずれかを経てクエン酸回路に入り,二酸化炭素にまで分解される ( 図 3 )。この時,哺乳類ではアセチル CoA になるアミノ酸 (Leu など) は,クエン酸回路中間体が存在しないとクエン酸回路に入れず,副反応でアセトンなどのケトン体を蓄積する。これに対しピルビン酸やクエン酸回路中間体になるアミノ酸 (Ala,Asp,Gln など) は,それのみで完全に分解されるだけでなく,オキサロ酢酸を経てブドウ糖になることもできる ( 図 3 )。

 アミノ酸を生合成する能力は生物種によって異なる。ヒトはタンパク質を構成するアミノ酸 20 種のうち 10 種 (Arg, Ile,Trp,Thr,Val,His,Phe,Met,Lys,Leu) を十分量合成できず,食物として摂取しなければならない。これを 必須アミノ酸 ( 不可欠アミノ酸 ) という。高等植物は 20 種のアミノ酸全部を合成でき,微生物は種により合成能力がまちまちである。いずれの場合でもアミノ酸は,炭水化物代謝すなわち解糖系,ペントース・リン酸経路,クエン酸回路の中間体より合成される ( 図 4 )。このときの窒素源は直接的にはアンモニアであるが,植物や一部の微生物では硝酸塩を,根粒バクテリアなどでは窒素ガスをアンモニアに変えることができるので,これらの反応も生態系的観点から重要である。またアミノ酸を材料 (の一部) として生合成されるものに,タンパク質のほか核酸の塩基,ヘムなどがある。

 実験室でのアミノ酸の化学合成法としては, シュトレッカー Strecker 法 が有名である。これはアルデヒドにシアン化水素とアンモニアを作用させた後,加水分解する方法である。

[化学式]

またカルボン酸のα‐炭素をクロロ化またはブロモ化した後に大過剰のアンモニアを加えてアミノ基に置き換えるのも簡単で便利な方法である。

 工業的な面から見ると,種々のアミノ酸のうちで, L‐グルタミン酸 (化学調味料。 1979 年の世界供給量約 27 万 t ),D,L‐メチオニン (飼料添加物。同約 18 万 t ),L‐リシン (飼料添加物。同約 2 万 5000 t ),グリシン (食品添加物。同約 6000 t ) が主な生産品である。他のアミノ酸は医薬品としての需要が主だが,おのおの年間数百 t 以下の生産しかない。これらは微生物による発酵法 (グルタミン酸,リシンなど),化学合成法 (メチオニン,グリシンなど),この両者の組合せ (アスパラギン酸,アラニンなど),タンパク質分解物よりの抽出 (チロシン,シスチンなど) などの方法により作られている。今後は遺伝子工学の発展により,発酵法が盛んになると思われる。

アミノ酸と化学進化]

 アミノ酸は生物を構成する基本的物質であるから,隕石の中にアミノ酸が見つかると宇宙生命の痕跡を示すものとして話題になる。 1953 年に ミラー S.L.Miller はメタン,アンモニア,水素,水蒸気の混合気体中で放電を行ったところ,グリシン,アラニンなどのアミノ酸が得られたと発表した。これは,太古の地球上の原始気体から無機的にアミノ酸が生じえたという可能性を示すもので,生命発生の前段階の化学進化のモデルとして有名である。 ⇒RNAタンパク質

桂 勲