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 現代農業と堆肥

現代の農業において、常に関心をもたれながら、もしくは使われながら実践農家はもとより、農業研究者、行政機関、農協などにおいて有機物、とりわけ堆肥の必要性を推進する割に、普遍的な解釈を理論立てて説明できていないのが完熟の概念を含めた堆肥の土壌もしくは、植物に対する必要性でしょう。

有機物の循環を間違って解釈することが多く、10a当り10トンの収奪農業において、10トンの有機物を投入することを表現する研究者が居りますが、10トンの農作物の90%以上は、水分であるので下記のごとき計算が成り立ちます。

収獲量

有機物量(20%)

内炭素量(通常50%)

土壌収奪量(全体)

土壌収奪量(内窒素)

 

80%は水

光合成により大気から

土壌中からの成分

肥料分に相当

10トン

2,000kg

 1,000kg

1,000kg

50kg

2トン

400kg

200kg

200kg

20kg

収獲量の80%以上が蒸発してしまう水分であり、全体の有機物量は400kg程度と成ります。

炭素有機物の組成である、炭水化物(主に炭素と水)、脂質(炭素と水)は、光合成から作られた産物で、平均的にその内50%含まれています。

アミノ酸(窒素、炭素、リン、イオウと水)の重合態のタンパク質のなどの有機物とりわけ窒素については、炭素量の10〜20%含まれている為、2トン収量に対し20〜40kg含まれる計算に成りますが(20kg)、この事は、蔬菜類の平均的な窒素投入量と一致します。

つまり、平均的な農業生産高の2トンから3トンの収量の蔬菜類や果樹などでは、土壌からの収奪量は多く見積もって、200kg程度であります。

自然界の有機物循環も同様の計算が成り立つ為、昨今言われている土つくりの為の有機物投入は、明らかに過剰であり、年間の循環量がせいぜい200〜400kgの圃場に対し数トン以上も有機物を入れれば、反って土が壊れてしまうのは当たり前の事です(有機物過剰によるガス障害と土壌酸素不足)。

有機物の循環以外において、自分が注目している素材は、ケイ酸ですが土壌の保肥力や通気性に多大な影響を与えており、ケイ酸の循環の記述のある書物があまりに少なく自信を持って論じることが出来ませんが、当社堆肥の組成では、完熟されて放出された炭素や窒素と入れ替わりにケイ酸の含有量が多くを占めており、古来からの農法の循環の要である枯れ葉や、稲藁の成分にも多くのケイ酸が含まれている為、このケイ酸の循環こそが、ひとつの大きな指針になるものと考えております。

ケイ酸などの無機物を循環の要に想定した場合に、200kgの有機物の収奪に対し、その数倍の無機物の循環が必要となれば、投入すべき有機物量は400〜800kgになると思われます。

農耕の歴史以来築き上げてきた先祖から受け継いだ土壌が、ここ40年間で障害が出てきたように、障害を直すのにもそれなりの年数が掛かります。(数年で治るが、先ず余計なものを入れないこと)

訳のわからない高級な資材を急いで結果を出したいが為に投入する前に、正確な収奪量からの考察をよくよく熟知して、本当の自然界の循環を想定して、ゆったりとした農業を営みたいものです。

その為にこそ、農業のすべてに関わるメカニズムを理解できないまでも、あきらめることなく追い求め無理の無い、安心できる農業を目指しましょう。

10a当り、700kgの堆肥散布は、非常に心もとなく寂しいものですが、当社堆肥のみを3年間使用し年間700kgの投入量(窒素にして3,5kg)だけで、その他の肥料を一切使わず優秀なりんごを生産している篤農家が居ります(毎年生産量が増加している)。