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       最終更新日2005/05/27

炭酸ガス説の弱点
アシカ島
気候変化の周期

 

 

気侯変化の周期

人の機嫌の変わりやすいことを,「あの人はお天気でネ」とたとえるほど,晴雨とか寒暖とかを含めた天候は,一見まことに不規則で予測しがたい変化をしている.しかしながら、昔から「歴史は繰返す」と俗にいわれている通り,寒暖の現象も時間的に長い目で眺めると,かなり複雑な変化脈動をしながら,いろいろの周期をもって繰返している。

 手近なところでは気温の1日の変化が1つの周期をなして,夜は温度が低く昼には高い1つの波を描いている.場所や季節によって多少の相違があるが,わが国では夜間最も冷える時刻は,明け方の4時半より7時半の問で,日中の最高気温の現われる時刻は,午後1時より3時の問であることが観測されている、こうした1日間における昼夜の寒暖,変化の現象を,学者は「気温の日変化→と呼んでいる. 

 次に1日間ではなく1年間という長い時間で襲陵変化を眺めると・,そこには春夏秋冬という四季の変化があって,日本では最も寒い月が1月(瀬戸内海の付近などで2月の所もある),最も暑い月は8月と大体相場が決まっている.このような最寒月と最暖月が描く1年を通じての寒暖変化の波を,学者は「気温の年変化」と称している.

 気温は右のように1日の周期と共に1年の周期が絶えず繰返されて来ているが,更に長い目でこうした寒暖変化のみならずいろいろの気候変化を眺めてみると,そこには各種の周期をもった波が認められるのである・たとえば短い波では,太陽黒点の周期の5分の1に当る2.2年周期とか,太陽黒点に密接に関連すると思われる11年周期を初め,ワグナー(A・Wagner)により発見された16年周期あるいはブルックナー(Ed・Brockner)の35年周期など数多くの気侯変化の波が見付けられている、そして長い波では,最近外国の学者の研究では510年というのが歴史時代における最長のものである。以上のような波を「気候の永年変化」と称しているのであるが,欧米では第2表に掲げたように,永年変化の比較的短い周波のものについて相当研究が進んでいたが,日本の学界では割合に長い周波の発見に恵まれた傾向にある.私が本書に事を追って展開する紛700年を1波長となるような長周期の寒暖変化の現象は,近年私が学界に発表するまでは欧米でも未知のものであった.

 米国カリフォルニア州の樹令3000年にもなる巨木の年輪調査を行ない,「気候脈動説」(Pulsation Theory)を提唱し,「気候と文明17」の著書をもって世に有名なエール大学のハソチントン教授(E・Huntington)すらも,11.4年周期,21年,33・8年,155年などの数多くの周期を検出しながら,この700年周期発見の機を失していた。ついでながらハンチソトン教授は昭和22年,三笠宮殿下の御好意により私の論文を手にし,私宛に未完成の手紙を遺して不幸にも他界してしまったことは甚だ遺憾に堪えないが,彼がもう少し生きていてくれたら,おそらく彼の長年集めた豊富な資料を活用して,アメリカにもまた700年周期の存在することを確認してくれたかも知れなかった・ハソチソトン教授の死後GHQ民間情報教育局よりの好意により,教授の最後の著「文明の原動力16」が教授の秘書エリザベス・パックストソ女史から私の手元に届いたが,この著作にも彼は41カ月周期や9年周期,ホイーラー(R.Wbeeler)による170年周期とその3倍の510年周期などについて触れているが,すでに述べたように,アメリカの樹木成長には気温より雨量が大きく影響するため,惜しくも寒暖700年の波には気付かなかったのである.

  日本では外国に点るような巨木に恵まれないが,日本の学界でも過去の気侯変化を樹木の年輪成長状況で探究しようとする試みは皆無ではなかった.たとえば大正9年に平野烈介氏が宮崎県西諸県郡狭野神社境内に成長した樹令250年余りの杉の年輪を調ベ18,また昭和12年に淵本金哉氏が鹿児島県屋久島の原始林から切り出された樹令約1000年の杉についての研究19などはその好例である・しかしながら,前者は樹令若くしてブルックナーの周期に近似の32・9年周期を検出したにとどまり,後者は樹齢700年をはるかに越えてはいるが,遺憾ながら700年周期が認められず,30年,100年,350年の周期が求められたに終っている。