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栄養周期栽培

栄養周期栽培説の時代と歴史

この技術は、昭和20年9月に大井上康氏により発表出版された新栽培技術の理論体系に基づいています。

植物の発育生理を徹底的に追及し、その目的をすべて実際の植物栽培、即ち営利目的の経済行為としての農業の為に確立された論理です。

目的のすべては、おいしい作物をより多く収穫する事とともに、農業生産者の経費の徹底的な削減に向けられており、特に無窒素出発と栄養周期による水溶性肥料(化学肥料)の適期に必要量だけを投入し、収穫時期や収穫物への残留窒素を極力少なくする為と、植物体内の体成熟の完了の為に、収穫2週間前付近に、水溶性の石灰すなわち、消石灰を使用することに特徴があります。

その発育周期の見識は、その当時と以前の科学技術の実験結果と、実際の圃場での認証によりもたらされており、そのすべてのデータについて、土壌や天候の変化によるばらつきを、認めておらずすべての事実に基づいて、結論付けられております。

日本人なら誰でも知っているブドウの巨峰は、大井上氏と恒屋氏により作られたもので、登録商標の巨峰は、この栄養周期栽培に基づいたものでありますが、その技術の伝承されていた、20〜30年前の巨峰のおいしさは、自分のお世話になっている地主さんが語っていた非常においしい巨峰の話からも確認できます。

地主さんの語っていたおいしい巨峰では、非常に大きく皮が剥き易く、果汁がとろとろと粘つくほどだったといいます。そのおいしさの秘密をブドウ農家に教えていただいたときに、収穫前の圃場は消石灰を大量に散布(おそらく10a当り60kg)されていたそうで、懐かしくお話してくれました。

たぶんに、この技術は巨峰だけの栽培に向けられすぎた嫌いがあり、他の農作物での全国的な栽培にまで発展できないでいましたが、技術の確立された戦争中からの世相を反映して、食味の好いものを追及するよりも、収量を増産する事だけに集中されていた当時の世相には、その技術の誤解とともに、巨峰以外では伝承できなかったようです。

その後の農協の確立や、食料増産法のもとでの農業界でも、元肥を投入しただけで完結できたかのような農業と違い、作物の状況や天候に応じた施し(ほどこし)をする、追肥方式では非常に難しく、現実の農業の現場では受け入れられなかったようです。(当時は潅水設備や技術が充実していなかった)

時代は、バブル前後の有機栽培時代になり一層化学肥料農業が疎んじられる事となり、巨峰会のメンバー事態も、消石灰が土を硬くするとの誤解なども手伝って、多くの脱退者が出たようです。

しかし自分だけが、思っていることかもしれませんが、自分が子供の頃に食べた巨峰は、異常にでかくてすごくおいしいものだった記憶があります。(地主さんや年配の方も同意見)

土に訊けでも主張したように、7年間も有機栽培を実践研究したり、客先の農家さんでも色々な有機栽培法を実践したり内容を検証したりしましたが、有機栽培は常に疑問が残り、満足な結果を得ることができませんでした。

2年ほど前から、悩みぬき徹底的に農学や土壌学を研究した結果、濃度の濃い肥料や土壌改良剤を投入すると土壌は、確実に破壊されることがわかり、有機質肥料では左程土壌を破壊しないが、窒素の残効がいつまでも残る為に、天候が極端に良好な場合を除いて、土作りの難しさや天候のせいにした農業を常に続けているような状態となってしまいます。

有機栽培と栄養周期

栄養周期栽培説との出会いは、自分が有機栽培を志した7年前に遡りますが、その頃の農業経験と知識からでは、この書物の真意を掴む事ができず、その上有機栽培が化学肥料よりも絶対的に正しいとの認識から抜け出ることが出来ませんでした。

実際、植物の吸収できる養分の形態は、無機イオンに限られており、ある一面の微生物の存在のすべては、有機物を最終的に無機化させることにおいてのみ存在していると表現しても過言ではありません。

有機肥料も化学肥料も、特に窒素で言うとアンモニア態(NH3+)の窒素が土壌中の好気性微生物(硝酸化成菌)により、硝酸態窒素(NO3-)に硝化されて、植物に吸収され、根の中でアンモニアに戻り体内を移動し、体内にあらかじめ作られていた炭水化物を利用して、アミノ酸を形成しタンパク質となっていきます。

つまり、土壌中に散布された形態が、有機であろうと無機であろうと、植物の利用形態は同じであり、天候や土壌水分量、土壌温度により無機化速度の予想できない有機物のほうが、その年の天候に左右されやすくなります。

現在の圃場の多くは有機物の無作為な投入により、養分過剰状態となることが多く、土壌分析によりECが1.0前後になっていたり、リンが過剰である場合には、その原因のすべては、投入有機物がもたらす、酸素不足と、常に発現される無機窒素の肥効による発根不足から起きていることが、認識されています。(骨粉やグアノにも適用される)

大井上氏も55年前の認識からこの事を戒めています。

それは、高価な有機質肥料は、窒素の発生を予測できないことと、果実の充実期にもいつまでも窒素の肥効が続く為、食味の良い大きな収穫が得られないことを述べており、収入を上げているのは、農家ではなく、肥料メーカーと肥料販売店であると結論付けています。

有機栽培から脱却して、栄養周期栽培説に移行したのは、このホームページを開設した、10月以降の事で、内容によっては矛盾することを述べていますが(直してる時間がない)、完全に有機栽培からの呪縛から逃れたのは、正確には12月10日付近の事です。

自分が有機から脱却した最大の原因は、有機栽培家の実践の少なさと結果のレベルの低さに常に不満を抱いていたことと、先生と称する人物の異常なほどの科学知識の偏りと、失敗を常に農家の責任のみにゆだねるその無責任さからです。

その導かれた経験は、下記の通りです。

  1. 有機栽培で収入を上げた人が非常に少ない

  2. 有機栽培を実践してから、農業が難しくなった。

  3. 有機栽培的農業は、かえって経費が掛かり、収入が増えない。

  4. 農産物の品質が、有機栽培をすることにより悪くなってきた。

  5. しかし、それが自然の理に叶っていると信じていた。

  6. 土壌分析の結果、常に養分過剰である。

  7. いろんな、高価な資材を使用するが、一向に効果がわからない。

  8. 有機栽培で作っている自信作であるが、誰も誉めてくれない。

  9. 有機栽培でも、化学肥料でも、天候が旱魃に近く水不足を起こしそうなときで、晴天続きの年には、お米やみかんなどを代表にあらゆる農作物がおいしく出来ることが多い。

  10. 土壌改良剤と称して、保肥力をあげようと努力したが、実際の作物には、効果が良くわからない。

  11. 堆肥の品質基準が、良くわからないので、最終的にはあまり量を入れないようにしている。

  12. 農薬を使用しても、使用しなくても、食味には一切関係がない。

  13. むしろ、収穫期や結実期の天候により食味や収量が左右される。

  14. 収穫直前に、湿度や気温が高いと食味がまずくなり、収穫直前が雨や曇りが続くとてき面に食味に影響する。

  15. 初期成育が軟弱で節間が長く茎が細くなったものは、病気に成りやすく、害虫にも侵されやすい。

  16. 葉っぱの異常に大きいものは、おいしくない
  17. 堆肥をたくさん入れて土が良くなった筈なのに、土壌消毒をしないと収穫できない。
  18. 微生物に頼ってみたが、なんの解決にもならなかった。
  19. 堆肥を散布するのにずいぶん体力や機械を消耗したが、土壌も消耗してしまった。
  20. 農業をやればやるほど、難しくなってくる。

以上、

 

 

栄週と有機栽培
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