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畜産堆肥の稲作利用
利用の減少
畜産堆肥を稲作に利用することが右図のように近年に減少しています。
その理由として次の4つが主な理由です。
1)良質の堆肥が入手しにくい
3)堆肥の効果が現れてくるまでに時間がかかる 4)堆肥を散布する労力が無い
上記の中で、2〜4までは昨今の価格低迷による労働生産性の向上が主たる原因となっておりますが、一般的に推奨されている散布量が、労働及び生産費に必ずしも合致していないことに原因があります。
地力増産法の認識での散布量(1トン/10a)は、畑作以上に面積収益性の低い稲作では、1トンの堆肥を10haも散布する労力を捻出できないことに原因があります。
3)の効果の現れることに対する認識の不確かさは、現実の散布量が1トンという、量の多さ(窒素成分が1.5%であれば15kgも供給される。)が未完熟な畜産堆肥を散布したときの障害が顕著に現れることの印象のほうが高くなることにより、部落内での稲作談義においても、現実に畜産堆肥施用のマイナス面が話題になることとなります。
そのため、結果的に1)の良質の堆肥が入手しにくいとの理由が一番に上げられることとなり、稲作の生き残り策が、良質米の生産であるように、畜産堆肥も稲作農家に受け入れられる、良質堆肥を生産しなくてはいけません。
稲作の堆肥の必要性
そもそも、地力増産法での堆肥(1トン)の散布の根拠は、土壌の腐植の増加を図るためのもので、還元状態である水田においては必ずしも必要であることではなく、まして収量に対する、炭素有機物の還元には、稲藁の土壌還元において十分にその機能を果たしているものと推測できます。
1トンの堆肥の水分含有量(60%)を想定した場合の炭素有機物の量と、乾燥した稲藁や籾殻の散布量は、せいぜい2〜4倍程度の差しかなく、現実問題として、トラクターの」完全普及と、コンバインの大型化に伴う機械化農業と、個別農家での畜産飼育頭数の集約化による、行き場のなくなった稲藁の土壌還元の時期とが堆肥などの有機物の還元の減少時期と合致していることからも、水田への稲藁の還元によって、十分な循環型農業が問題なく行われていることが推測できます。
また、コシヒカリなどの倒伏しやすい品種が一斉を風靡し、食味のよい品種を栽培するようになることと、畜産堆肥の施用量の減少も納得できることです。
コシヒカリは、残効窒素での倒伏、収量低下が農家の問題となりましたが、被覆肥料の使用や、リン酸、ケイ酸施肥によりその問題を解決し、現在では、それほど失敗することなく栽培できるようになりました。
その一連の結果の中で事実、畜産糞尿は敬遠され、稲作への堆肥投入を減少させています。
稲作への堆肥の必要性は、成分の不明な堆肥を1トンも投入することではなく、高食味の品種を倒伏させるような、残効窒素を含んでおらず、リン酸の施肥量と合致した、散布量を科学的な計算に基づいて決定すべきです。 牛ふん鶏ふん混合完熟堆肥 分析結果 茨城県肥飼料検査所 第1159号
上図のように、”まぜた君”の成分は、他の堆肥に比べて、窒素に対して、リン酸、石灰、ケイ酸が多くリン酸の施肥量を基準に水田への散布量を計算すると、10aあたり、8〜10キロのリン酸を施用するには、200〜250キロの散布量で十分であることが分かります。
そのときの窒素の成分量は、2〜2.5キロに過ぎず、炭素率からの窒素の無機化率を認識すると、まったく稲作に利用されないことが予想でき、この堆肥の施用による、倒伏、収量低下が起きないことが認識できます。
また、完全な分解による、有機物の減少は、無機物の上昇を示し、同時に石灰とケイ酸が多くなることがデータの上からも分かります。
ケイ酸は、稲作において、3要素施肥に匹敵する重要な要素であり、結論的に、有機ケイ酸の投入が実現できる堆肥が存在することにより、稲作農家の要望にこたえられることとなります。
結論
良質の完熟堆肥が稲作農家の問題点を解決することとなりますが、まとめとして
1)良質の堆肥が入手しにくい 小窒素で高リン酸、高ケイ酸堆肥を供給する。
3)堆肥の効果が現れてくるまでに時間がかかる 効果の目的は、再認識すること(リン酸、ケイ酸) 4)堆肥を散布する労力が無い 1トン施肥を肥培的に250kg程度とする。
上記の認識において、15kg袋入りの堆肥を15〜20袋散布することも、農作業としては、それなりの労働ではありますが、有機物由来のリン酸と、有機物由来のケイ酸が、窒素の障害が発生することなく施用できることは、従来では考えられませんでしたので、稲作農家の要望する畜産堆肥を供給できませんでしたが、炭素率を考慮した嫌気性腐敗分解により、製造された堆肥は、現在から未来への稲作農業のために、科学的にも実際の評価としても十分答えられるものとなりました。 |
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