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   環境保全型農業が環境を破壊しています。

 窒素収支法

今年11月より畜産堆肥の野外放置が国際的潮流の中で日本でも禁止となりました。

これは、デンマークの窒素収支法にその源があり、有機栽培と環境保全の名の元に、畜産糞尿を大量に農地に散布し深刻な地下水汚染と海洋汚染を引起したことで、野外からの堆積畜産堆肥の窒素をはじめとした、肥料分の土壌及び河川への流入を禁止するものです。

酪農王国デンマークでは1970年代に深刻な海洋汚染を経験し、その原因が畜産糞尿の窒素収支を無視した、投入方法に問題があることが明らかとなり1985年に法律で規制することとなりました。

 デンマークでは、10a(1,000u)当り、窒素で12.5kgと規定し、現在ではヨーロッパ全土がこの窒素収支法に加盟しており、韓国でも加盟の意思を示していますが、日本ではその加盟が見送られています。

 

 なぜ10a当り2トンであるか。

 一般的に堆肥などの土つくり資材の平均的な投入量は、1〜2トンでありますが、鶏糞や豚糞などは、3〜4%の窒素を含有しており、牛糞でも1〜2%の窒素を含有しています。

 つまり、2トンの堆肥を環境保全と称して投入することは、2%*2000kgで40sもの窒素を投入することになり土壌汚染、地下水汚染、河川汚染、海洋汚染を引起すこととなります。

 1960年代の堆肥を再び投入することの是非を研究した学者たちの論文では、堆肥の投入試験を、0トンと2トンと10トンで試験して、2トンがよいとしており、一番の理由は、9600万トンの畜産廃棄物に対し、農地が460万haしかないことで、単純な割り算で2トンと称しています。これは世界的潮流である、窒素収支法から見ると重大な間違いであり、これを推進している国家は、大きな間違いを犯しています。

 

 有機栽培が環境を破壊する。

 居酒屋チェーン大手のWでは、そこのWファームの社長と面会したところ、3〜5トンの堆肥は微生物の為に絶対に必要で場合によっては10トンの堆肥を投入し、最初の3年間は作物が取れないが、その後に収穫できるから、健康と環境によい野菜ができ、化学肥料で土を破壊することが無いので、自分たちが環境を率先して保護していると話しています。

 これは、重大な問題で5トンで100s、10トンで200kgもの窒素を投入することで、世界的潮流である窒素収支法の12.5kgの10倍以上の窒素を環境保全と称して、投入しています。

一番問題なのが、窒素を100kgも投入し国土環境破壊を率先しているものたちが、有機栽培協会の理事をしており、何も知らない消費者と、収支の合わない農家を巻き込んで、自分たちが環境を保全していると、大きな勘違いを犯していることにあり、何の問題も無い化学肥料が環境を破壊していると運動していることであり、犯罪を犯した本人(有機栽培家)が罪の無い善良な市民(化学肥料)を犯罪者に仕立てあげた明らかな冤罪であります。

 いま、環境保全や有機栽培で安全な作物を作ることが、国民の義務でもあるような状況にありますが、大農産地の地下水汚染は深刻で、昔から清水と称しておいしい湧き水の出る千葉県房総では、地下水の硝酸態窒素の含有量が高くその水を飲むことを保険所が禁止しており、茨城県の鉾田町、八千代町周辺の地下水なども硝酸態窒素が高く、その水を飲むことは、子供たちの健康を害することとなります。

 

 化学肥料は悪くない。

 環境保全型農業を推進するものたちは、化学肥料と消石灰を目の敵にして攻撃しますが、それに乗っかって有機質肥料を販売している、JAや肥料業者は、安い化学肥料を売るよりも高い有機質肥料を売るほうが、労働単価が稼げるため、率先して有機質肥料を投入させていますが、それを使用する農家は、窒素収支を無視した有機資材の投入で農薬の使用量を増加させ肥料代が高くなり、農産物の販売単価が国際的に安くなる中で、利益を取れないでいます。

 化学肥料の硫安は、生理的酸性肥料でそれを投入することで土壌を酸性化し、リン酸の固定を招くために、消石灰でアルカリ性に矯正することが、化学肥料農業の基本で、その部分が土を硬くすると錯覚されています。

 消石灰を投入して、土壌環境をアルカリ性に急速に変化させることは、微生物の活性を増し、土壌中のリグノプロテイン態チッソの動因を誘発し、土壌団粒の接着剤である腐植酸をガス化減少させるため、土壌が硬くなります。

 この現象は、土壌学的見識では15年以上の化学肥料のみの偏重使用により発生し、適正な有機物の投入があれば、全く起こらないことであり、実際英国のロザムステット研究所の130年間の試験でも、化学肥料のみと堆肥のみの小麦生産で、全く優劣の差がおきていないことを報告しています。

 したがって、化学肥料が悪いのではなく、その使い方が問題であり、一番の問題はどちらかを一方的に犯罪者にするところに問題があるためで、有機物を土壌維持(500kg)として投入し水溶性の化学肥料で追肥を行うことが最良の農業を続けることができ、窒素収支を念頭において、植物に必要なだけの窒素分の投入をし、過剰な窒素をはじめとした、肥料分の投入を行わないことが、真の環境保全となります。

 有機栽培が高く売れない 

有機栽培を行うことが、流行である現在、全くの疑いも無く有機窒素の投入比率を増やすことが市場の評価を上ることができるため、必ず有機窒素50%以上にすることを農業団体は行っています。

有機栽培の発祥はデンマークなどの欧州ですが、欧州の大陸的土壌は、ケイバン比(ケイ酸/アルミナ)が高く、カルシウムの溶脱しない程度の雨しか降らないため、アルミナ(Al2O3)によるリン酸の固定が起きないため、有機質肥料でも化学肥料と同じか、それ以上の農産物が収穫できます。

 しかし、日本の火山灰的なローム層土壌では、ケイバン比が低くアルミナが多いため、カルシウムの溶脱による酸性化でリン酸の固定化が誘発されるため、窒素型の生育となり、健康な農産物が収穫できません。

有機窒素は、土壌の温度と水分含有量で、その無機化速度が決定するため、有機質窒素では、栄養成長期に必要な窒素の無機化が、土壌温度が低いために活性化せず、その分を見越して必要以上に投入した有機窒素が、生殖成長期に無機化発現し、植物病害の発生しやすい窒素型の軟弱徒長を招き、農薬の使用量を増し、青枯れなどの打撃を与えています。

そして、収穫期にも窒素が遅効きし、収穫物の含有窒素量を増加させ、食味を悪化させることで、子供たちの野菜や果実嫌いを誘発して、主婦層の購買意欲を阻害し、農産物の流通過多を招き、結果として農産物を安くして、農家の収入を減らしています。

ここで、一番大事なことは、肥料メーカーや資材メーカー、JA、肥料販売店は高い有機質肥料を流通することで、多くの利益を得ることができ、有機質肥料は非常によい資材であり、農産物を販売するスーパーや八百屋は、言い訳をつけて、高く売ることで(実際には売れない)利益を上げることができますが、農家は、資材費が高くなり、過剰な量の堆肥などの投入で、労働が増え、機械の購入費が増え、農薬や葉面散布剤の使用量が増え、多くの生産費を出費していますが、農産物の安値安定の為、農家だけが収入を減らしています。

国家の根源である農家が、有機栽培や環境保全と称して、明日をも無い状況に追い込まれています、これは由々しき問題で、そのすべての根源は、間違った認識つまり、有機物の投入が環境を保全し、人々の健康をまし、安全な作物を作るととする錯覚であると共に、水溶性の優秀な化学肥料を適正な使用方法(追肥)をすることなく犯罪者にしていることにあります。

 

間違いの是正を

本当の環境保全を行うには、まず間違った認識を是正することが急務であり、それを行わないと、環境汚染と農家人口の減少を招くこととなり、国家の根源である食料自給率を、より一層減らすこととなります。

すぐに始めなければいけないことは、まず窒素収支を認識させることで、堆肥や有機質肥料の窒素投入量を適正な量に指導徹底することと、マスコミや出版社での印刷物において、窒素収支を無視した有機質肥料と堆肥が環境を破壊していることを再調査し、科学的なデータに基づいてそれを公にすることです。

前述した農家だけが損をし、流通産業が利益を上げている現在の状況を修正することは、おそらく不可能であり気がついたときには取り返しのつかない負の遺産を子供たちに残すこととなるでしょう。

化学肥料と有機質堆肥を適正に使用することにより、一見流通業界は利益が出ないようでありますが、目先の利益を追求することで農家人口や、園芸愛好家を減らすことで、全体の使用量を減らすこととなり、結局利益を減らしています。

これは、鶏糞が一番分かりやすいですが、大きな工業製品である卵の負の遺産である(今は)鶏糞は、その炭素率が低い窒素有機質であるため、従来の堆肥化の技術では完熟できません。

したがって、完熟の錯覚で鶏糞を農家に大量に供給しましたが、尿酸の窒素が植物に病害を与え、農産物の品質を低下させ、地下水汚染を招くために、購入は控えられ、二束三文でも買ってもらえず、ホームセンターで安く売られても、売れ残っています。

最終的な消費者の指示が選れない限りは、その産業は必ず衰退していきますが、農業界は、環境保全と有機栽培の認識の農産物が消費者の指示を得られないため、収支を悪化させた農家の疑問が爆発する寸前であり、何かのきっかけで間違いに気がつけば、真の環境保全型農業を推進できることとなります。

 

真の環境保全型農業への提案

  1. 元肥主義を改めると共に、元肥の使用量を半減する。(河川流亡を少なくする)

  2. 窒素収支を念頭に入れた、追肥型施肥を行い、その季節の日照量と降雨量で修正変更(追肥)する。

  3. 有機質肥料は、窒素の遅効きを招き農産物の品質低下を招くので、極力使用しない。

  4. 水溶性の化学肥料を植物の生育にあわせて追肥を行い、過剰な肥料投入による、環境汚染を少なくする。

  5. 堆肥は、窒素収支を念頭に行い、土壌維持の為に投入する認識に改める。(500s程度)

  6. 土つくりは、ケイ酸資材で行う。

  7. すべての投入資材の肥料成分の投入量を把握し、必要最小限の使用量に留める。

  8. 土壌分析を行い、昨年のデータとの比較により、各成分の増減を把握し、必要以上の成分の投入を次作で修正する。

  9. 窒素が少なく、リン酸やカルシウムの供給できる、堆肥を選定投入する。

  10. どのような資材も偏重使用しない。

そして、何よりも大事なことは、すべての資材(化学肥料、有機堆肥、土壌改良剤)の特性を正確に認識し、適材適所で使用することであり、そしてなるべく薄く少なく使用することであります。

いかなる資材も、人間の欲の為に投入することは、自然を悪化させることであると認識し、単一の資材の偏重使用を行わないことが大事であり、それを科学的事実に基づいて正確に判断することです。

経済の発展は、その収支に基づいて判断し、会社の経営や国家の運営もすべて損益計算による、収支でその善悪を修正しています。

環境保全も健康な食材も、農家の経営も、そして何よりも大事な土壌は、その収支計算により判断すべきで、現在までの環境保全型農業の間違いは、地下水の硝酸態窒素の蓄積の収支、土壌の肥料成分の収支で、間違いを認識することができ、その原因のすべては窒素収支を念頭に入れていない、有機物の偏重使用に原因があります。

そして、国家の根源である経営農家の収支を悪化させ、子供たちの体に硝酸態窒素を蓄積しています。

 

平成16年11月24日      

  有限会社 一洸  松元信嘉